「ダンガンロンパV3」白銀つむぎの正体をネタバレ考察してみた
今回は、アクション推理ゲーム「ダンガンロンパV3」のキャラクター「白銀つむぎ」を考察していきます。
- ダンガンロンパシリーズは「CERO:D(17歳以上)」向けゲームです
- 本記事はダンガンロンパシリーズのネタバレを含みます
ダンガンロンパV3をこれからプレイしようとしている人は、こちらのゲーム紹介記事から読んでください。
また、この記事は前回の「ニューダンガンロンパV3のラストはひどい?エンディング後の謎を考察」の続きとなっています。
V3世界全体の謎や未回収の伏線については、上記の記事にまとめてあります。
それでは、ネタバレOKの人のみ、チラシの裏を見る感じで続きをどうぞ。
ダンガンロンパチーム最新作「推理アクションゲーム」!
V3での「白銀つむぎ」の役割とは?
「白銀つむぎ」という特殊なキャラクターを考察する前に、彼女の立ち位置について整理しておきましょう。
V3の物語のキーマンの1人である彼女は、物語内で3つの役割を持っています。
- コ〇シアイゲーム参加者の1人
- ゴフェル計画を利用する、物語の中の黒幕
- 「ダンガンロンパシリーズ」をプロデュースする「チームダンガンロンパ」のメンバー
順に復習していきましょう。
①16人のコ〇シアイ参加者の1人
白銀つむぎの1つ目の顔は「コ〇シアイゲームの参加者の1人」という、53作目の物語の中の登場人物としての顔です。
絶妙な相槌やツッコミで学級裁判を盛り上げますが、他の個性的な生徒たちと比べると、やや印象に薄い感じがします。
しかし、彼女の行動を改めてたどってみると、コロシアイゲームを盛り上げるために様々な行動をとっていたことが分かります。
- 集団の雰囲気が明るいときは、前向きな発言をする
(5章事件前、6章冒頭など) - 集団の雰囲気が暗い時は、後ろ向きな発言をする
(人類滅亡の「事実」が判明した時など) - 集団内で対立が起きた時は、対立を煽る行動をする
(生徒会入会、王馬との対立)
場の雰囲気が明るい時は集団を調子づかせ、暗い時は不安を煽る。
これは、コロシアイゲームの盛り上げ役として欠かせない行動です。
特に、3章でアンジーの率いる生徒会に参加する行動は、
- アンジーの発言力を高める
- 他の生徒たちにプレッシャーを与える
という効果があったため、(黒幕側としては)とても良い一手でした。
物語の中の黒幕「ゴフェル計画を利用する絶望の残党」
自らを「地味」と称する彼女ですが、「ダンガンロンパシリーズ53作目の悪役」という立ち位置が、彼女の本来の役割でした。
白銀やチームダンガンロンパのシナリオ通りの展開であれば、以下の流れになっていたのでしょう。
- ゴフェル計画を悪用し、コ〇シアイゲームを強要した黒幕になる
- 最原たちに、絶望の残党という「正体」を暴かせ、敗北する
- 白銀を排除した最原たちは、喪失を嘆きながらも希望を抱いてエンディングを迎える
「53作目はこれでお終いです!次回作も楽しみにしていてね!」
これが当初の予定でした。
しかし、4章以降の王馬の活躍や、最原の想定以上の成長に、次第に雲行きが怪しくなっていきます。
53作目を作り上げる「チームダンガンロンパ」のメンバー
黒幕としてのもう1つの顔は、「ダンガンロンパ」シリーズを制作するメンバーとしての顔。
本来であれば、最原たちには暴かれてはならなかった役割でした。
さらに致命的だったのは、最原が、52作目までの間に何が起きていたのかも推察してしまったこと。
6章での彼女とモノクマの言動により、
「白銀を倒す」という選択が、コ〇シアイゲームの終了には結びつかない
という確信を最原が持ってしまったことでした。
白銀やモノクマを含む「チームダンガンロンパ」が持っていた驕(おご)りと、最原達の目覚ましい成長。
この2つの要因により、ダンガンロンパは視聴者に飽きられ、舞台ごと倒壊するという末路を迎えたのでした。
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商業主義に走った「絶望」と、キャラクターに成りきれないコスプレイヤー
以前書いた、「エンディング後の考察」では、最原や赤松などの作中の登場人物は、「実在する人物をモデルにした架空のAIアバター」であるという考察をしました。
白銀つむぎがV3世界に「実在」していたかはハッキリしていません。
ここでは「16人の生徒の中で、白銀のみV3の現実世界に実在していた」と仮定します。
【補足】
白銀のイベントで、彼女が過去にお酒を取り扱う店で働いていたことを匂わせていることから、
・白銀はV3世界に実在する人物
・白銀の実年齢は20歳以上
だと推測しています。
白銀以外の15人の高校生は、存在自体が架空のもの、もしくは「嘘」と呼べるものでした。
(最原達が「超高校級の生徒」として振舞う様を、制作者と視聴者が冷笑する図が透けて見えます)
しかし、多くの悲しみと意志を見てきた最原は、5章から6章にかけて「超高校級の探偵」と評されるにふさわしい推理力と決意をみせました。
その一方、モノクマを操る「チームダンガンロンパ」と白銀は、実在こそしているものの、その主張や思想には欺瞞が満ちています。
特に顕著だったのは6章の裁判のシーンですが、モノクマの態度に注目すると、全章にかけて「チームダンガンロンパ」の欺瞞と驕りが透けて見えてきます。
不純な絶望を求めるモノクマ
ダンガンロンパシリーズの1と2では、江ノ島盾子を中心とする「超高校級の絶望」は、利益や主張もなく純粋に絶望を求める存在でした。
モノクマは、その純粋な絶望の象徴として生み出されたものだったのです。
一方、V3のモノクマは、一貫して視聴者を意識した言動を繰り返しています。
視聴者を楽しませるために、そして「ダンガンロンパ」というコンテンツを長生きさせるために「絶望を振りまく役」をしているのがV3のモノクマです。
もはや、モノクマによく似た、ただの悪役キャラクターに成り下がってしまっているのがV3世界のモノクマと言えます。
自分はV3プレイ当初、モノクマに対して違和感や嫌悪感を感じました。
前作までのモノクマとは内面がかけ離れた別キャラクターが「自分はモノクマである」と主張していることに対して、無意識に「解釈違い」を感じていたのでしょう。
1,2作目のモノクマ | V3のモノクマ | |
目的 | 絶望を広める | ゲームを盛り上げる |
動機 | 特にない | 利益のため |
赤松のコスプレができないコスプレイヤー
6章での白銀の言葉も、彼女自身の矛盾を表しています。
1章の捜査時に、白銀は「実在する人物のコスプレはできない」という発言をしています。
しかし一方で、6章での彼女は最原たちを「キャラクター」、現実には存在しない人物だと発言しています。
これは、彼女が無意識に吐露してしまった驕りや矛盾だと推測しています。
白銀は、ピアニストらしい発言をする赤松や、探偵の肩書に恥じない活躍をしようとする最原たちを目にしながら、内心は
「才能ある人間のふりをしているけど、君たちは本当はただの凡人なんだよ」
という感想を持っていたのでしょう。
目の前で自分と会話している仲間(赤松)のことを、「ただの一般人がモデルになった、超高校級っぽく振舞う凡人」だと認識していたとすれば、「実在する人物にはコスプレできない」と主張した白銀が、赤松のコスプレをできなかったのは納得できます。
こうした認識や、「物語をいかに面白くするか?」といった制作者目線で彼らを見続けたために、目の前で成長していく最原達を正面から見れていなかったのではないでしょうか?
結局、白銀は最原達のことを「実在する人間」だと思っていたの?
それとも「キャラクター」だと思っていたの?
どちらも…じゃないかな?
6章はとにかく最原を屈服させることに固執しすぎて、
最原たちを「キャラクター」と断じたね。
でもそれ以外の時は、モデルになった人物と重ね合わせているように見えるよ。
どちらにしても、最原達のことを「仲間」として真正面から見てはいないけどね。
白銀自身が気づかなかった欺瞞、もしくは「無意識に抱えていた嘘」なのかもしれません。
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まとめ:ニューダンガンロンパV3のテーマとは?
「虚構から生まれた超高校級」と「実在する嘘つき」の対決
最原たち | 白銀つむぎ | |
V3現実世界に | 実在しない | 実在する(仮定) |
才能や性格は | 偽物 | 本物? |
勝利/敗北要因 | 虚構から生まれた絆 | 自身の嘘に気づけなかった | 偽物に対する驕り
虚構から生まれ、設定を与えられただけの存在も、絆を紡ぎ得る。
最原達にとって「超高校級の才能」は、与えられた設定でしかありませんでした。
しかし、「設定という嘘」に忠実に行動した結果、「超高校級」にふさわしい実力を持って、ダンガンロンパという舞台装置に大きな爪痕をつけました。
特に顕著なのは、王馬と最原ですね。
王馬の性格や才能も、最初は与えられた設定でした。
彼自身が、赤松の事件を受けて「超高校級の総統」として成長し、暗躍した結果が6章の最原の活躍に繋がりました。
最原も同様です。
「弱弱しい超高校級の探偵」が成長するシナリオは、白銀に用意されたものでした。
しかし、白銀の想定を超える成長をした最原は、運営側にとって致命的な謎ときをしてしまいます。
最原が6章で暴いた真実は3つです。
- 1章事件の真実
- 「53作目のダンガンロンパ」という真実
- 運営側が嘘と驕りにまみれているという真実
運営側にとって特に致命的だったのは、③の自分たちの驕った姿勢が視聴者に丸見えになってしまったことでしょう。
チームダンガンロンパという運営側は、②までの真実を最原に暴かせることで最原達を屈服させるつもりでした。
しかし、5章から6章にかけて明らかになった(正確に言えば1章から)、
- 運営側の数々の不正
- 商業主義に走った発言
- キャラクターに対する驕り
が視聴者に突き付けられることによって、ダンガンロンパを愛していたV3世界のファンからも愛想をつかされる結果となってしまったのです。
こうして「チームダンガンロンパ」は、「虚構から生まれた超高校級の生徒たち」に完全敗北することになりました。
- 投票放棄で視聴者に「ダンガンロンパに対する飽き」を感じさせた
- モノクマと白銀の商業主義的発言や、最原たちを見下す態度を視聴者に知らしめた
(商売根性丸出しのエンタメ作品って、わりと冷めやすいですよね…)
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白銀つむぎのエンディング
白銀つむぎは、6章の最後に「末路まで江ノ島盾子の模倣ができた」というセリフを言っていました。
彼女自身が、それをどこまで肯定的に受け入れたのかについては、疑問の余地が残ります。
- 最後まで偽物を見下す黒幕キャラクターのままだったのか?
- 最原達と対決することで、皮肉にも自らの破滅も肯定する「超高校級の絶望」の境地に至ってしまったのか?
果たして、6章最後の白銀の心情は、どちらに近しいものだったのでしょうか?
ダンガンロンパV3本編で残る、大きな謎の1つかもしれませんね
白銀つむぎが最後に「超高校級の絶望」に成りきれたのかは定かではありません。
しかし、「ダンガンロンパ」ゲーム三部作のトリを務める「超高校級の模倣犯」として、彼女は胸を張ってもいいのではないかと思っています。
長々と書きましたが、彼女は憎めないキャラクターなので。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
「ダンガンロンパV3」ネタバレ考察記事リンク
ダンガンロンパチーム最新作「推理アクションゲーム」!