ペルソナ4ザ・ゴールデンの考察。マルチエンディングで見える犯人像
この記事は「ペルソナ4ザ・ゴールデン」をクリアした人向けの記事です。
ネタバレが含まれますので、未プレイの人はご注意ください。
直接的なネタバレは目につかないようにしていきますが、「ペルソナ4における犯人の考察」がテーマになっていますので、プレイ後に読むことを強く推奨します。
「ペルソナ4って何?どんなゲーム?」
という人は、以下の記事からご覧ください。
(ネタバレなしです)
それでは、以下から続きをお読みください。
ペルソナ4での犯行方法と犯人のパーソナライズ
まず最初に、ペルソナ4における、犯人の動向を復習しておきましょう。
4月までの犯人の動向
・東京のエリート警察官として就職
・権力争いに敗れ、八十稲羽に左遷させられる
(・ペルソナとテレビに入る力を手に入れる)
・堂島遼太郎と出会う
・マヨナカテレビで山野アナが映ったことをきっかけに、彼女に接近。
テレビに入れてしまう
・八十稲羽での最初の事件となる
・マヨナカテレビに小西早紀が映ったことをきっかけに、彼女に接近。
(生田目と合っている現場に遭遇)
第二の事件を起こす
・警察署に電話してきた生田目に、人をテレビに入れるよう唆す
以上が、前半の動向になります。
注目したいのは、最初の事件が発覚し警察が駆けつけた時、足立が気分を悪くしている場面です。
1周目では、単なるへっぽこ刑事にしか見えない場面ですが、2週目では違った感想が出てきます。
おそらく山野アナの時は、彼女を怖がらせるのが主な目的だったのではないでしょうか?
予想外の取り返しのつかない現場に出くわしたことで、足立は気が動転してしまったのだと考えています。
まあ、その後小西先輩に同じことをしているので、立派な悪党なわけですが。
ゲーム中盤の犯人の動向
・模倣犯(久保)が犯行をする
・久保が警察署に自首しにくる
・事情聴取中にスキをみて、久保をテレビの中に入れる
・主人公たちの活躍により、再び久保が警察署へ出頭
「ゲームが冷める」というのが、久保をテレビに入れた動機です。
本来、真犯人であれば、久保が最初の2件の事件の犯人ということにされてしまえば、(少なくとも警察からは)うまく逃げ切れるはずです。
しかし、足立はわざとリスクのある行動に出ています。
この時点では完全に黒幕としての自分に酔っており、主人公や生田目の行動を、高みの見物しているのがうかがえます。
一方で、この時期には、堂島家とのかかわりも増えてきています。
堂島さんが事件を必死に追っているのを見て、彼なりに思うところがあった、ということでしょう。
この時点では、まだ具体的な行動は起こしていませんが、夏から秋にかけての堂島家との関係は、その後の展開に大きくかかわってくることになります。
逮捕直前の犯人の動向
・マヨナカテレビに菜々子が映る
・主人公に警告(脅迫文書)を送る
・生田目が菜々子を誘拐
(主人公を警察署から解放)
・生田目が逮捕
・主人公達に生田目をテレビに入れるよう(間接的に)そそのかす
・犯人であることがバレる
・テレビの中で特捜隊とバトル
・逮捕される
主人公に2回脅迫状を送ってますが、2回目の脅迫状は、マヨナカテレビに菜々子が映った後に送られています。
もしかすると、脅迫状は本来1通しか出す予定がなく、2通目は菜々子に危険が迫っていることを、主人公に警告するために送られたものである可能性があります。
自分で仕組んだことが、思わぬ人に、思いもよらない形で被害をもたらしたことに、足立自身も動揺していたのでしょうね。
・直斗が生田目のメモを見つけた時の失言
・主人公達に生田目の状況について話し、テレビに入れるよう唆す
・主人公と堂島に迫られ、またも失言
・追い詰められて自らテレビの中へ入る
自称・頭脳派の通り、4月以降は自分の手を汚さずに犯行を続けてきた足立。
しかし、尊敬する上司である堂島と主人公に挟み撃ちにされた際は、かなり気が動転していました。
それによりボロを出してしまい、テレビの中に逃走することになります。
「テレビに入れる」という犯行方法が、特捜隊以外の人間には分からない以上、相当なボロを出さないと「犯人」にはなれないはずですが、結局彼は追い詰められてしまいました。
彼を追い詰めたのは、主に以下の2つのポイントです。
・「犯行方法が特殊なので、犯行を立証できない」という慢心
・堂島家が不幸になってしまったことに対する動揺
4月から12月まで、時間をかけないと事件が解決されなかったのは、必然と言えるでしょう。
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ペルソナ4ザ・ゴールデンでの追加要素から考察してみる
ペルソナ4ザ・ゴールデンでは、足立とのコミュと新エンドも追加されています。
道化師・欲望コミュから見える、主人公へのスタンス
コミュの前半では、息子がいない寂しさを募らせるおばあさんと、足立の交流が描かれています。
後半では、足立を単独で追いかける主人公と、それを拒絶する足立のシーンが追加されました。
八十稲羽に来るまでの足立にとって、人との交流や絆は、前半のおばあさんとの関係に象徴されるように、
・薄っぺらいもの
・必要とされなくなれば、あっさり切れるもの
だったのでしょう。
一方後半では、自分の真実を知っても、「単独で」追いかけてきてしまう主人公との関係性にスポットライトが当てられています。
ペルソナ4では「真実」がキーワードになっていますが、欲望コミュは足立にとっての「真実」を照らしだすコミュだと考えています。
テレビの中は、自らの真実に向き合わなくてはならない場所。
真犯人の自分に、一人で会いに来た主人公との間にあった関係性は、果たして薄っぺらいものだったのでしょうか?
コミュを最後まで進めた人には、もうお分かりですね。
ちなみに、アニメ「ペルソナ4ザ・ゴールデン」では、足立透にスポットライトを当てたお話があります。
声優さんの演技も相まって、足立の心情がより分かりやすくなっています。
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共犯エンドは「犯人に対する負け」ではない
共犯エンドでは、足立が犯人であることに気づきながらも、犯人の手がかりを隠滅してしまう主人公が描かれています。
一見すると、「足立(犯人)に敗北した」ともとれる描写ですが、少し違う見方もできます。
あのエンディングは、
・主人公が、それまで仲間と一緒に戦ってきたもの(人の負の側面)に対する敗北
であると筆者は捉えています。
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あるいは「足立の勝利エンド」と呼ぶべきか。
足立にしてみれば、
・尊敬する堂島の甥
・自分を追い詰める可能性がある唯一の人物
が、自ら真実を明らかにすることを断念して、正義をなすことを拒絶しているのです。
正義や絆、誠実さといったものを「薄っぺらい」と称する足立にしてみれば、ひそかに抱いていた持論が、よりにもよって主人公に肯定されてしまう。
これは嗤う(わらう)しかないですね。
(実際、本人は爆笑してました)
共犯エンド後の足立は、主人公のことは「大事に」してくれると、勝手に思っています。
犯人には「ダメなものはダメ!」ときっぱり言う必要がある
頭のいい人を論破するのって大変
ゲーム後半で、主人公たちに追い詰められた足立は、「自分は悪くない。世の中の悪意が犯人だ」ということを主張します。
それに対して特捜隊は、
「あんたの意見なんて子供が駄々こねているのと変わりない!」
と一蹴します。
犯人にとっては、議論を拒否され、少しかわいそうな場面ではありますが、あの場面では特捜隊の反応が正解です。
相手は口達者な元エリートなので、下手に論戦に持ち込むと、論破されたり、丸め込まれるリスクがあります。
(これからバトルというときに言い負かされてしまうと、チームの士気が下がりますよね)
このあたりの足立の悪あがきは、アニメ「ペルソナ4」で一層輝いて(?)います。
真エンド直前では、しっかり反省はしている
3月の時点では、逮捕されたうえで、しらばっくれることなく牢屋につながれています。
前にも書いた通り、この特殊な事件が本当の意味で終わるためには、
犯人が警察に犯行内容を協力的に供述する
というプロセスが必須です。
堂島さんの話から、足立は検察が立件できるように供述しているのが分かります。
さらに足立は、主人公に黒幕につながるヒントとなる手紙を送っています。
主人公に手紙を送る行為は、足立にとってみれば何の得にもならない行動です。
自身の疑問を解消しておきたかったのかもしれませんが、どちらかというと、「主人公の力になりたかった」という動機の方が強いと考えています。
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まとめ:犯人は、成長した主人公とは対極にあるキャラクター
足立の人間性と生い立ちをまとめると、
・人間同士のつながりは「薄っぺらい」「虚飾」だと考えている
・学生時代は勉強中心、友人と遊んだ経験に乏しい
・警察という職業に誇りをもてない
(他人を守ることに意義を見出せない)
ということになります。
八十稲羽に来てから、様々な人との絆を育んだ主人公とは、対極の人生を送っていますね。
ペルソナというゲームのテーマからみても、主人公に立ちふさがる悪役として、とてもふさわしいキャラクターだったと言えるでしょう。
ペルソナは、様々なキャラクターの心情の描き方が、すばらしい作品だと思っています。
原作ゲームで没入感を楽しんだ後は、アニメ「ペルソナ4」「ペルソナ4ザ・ゴールデン」でカッコいいバトルシーンやアニメオリジナルの日常を楽しむのも良いですね!
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