【P5R】三学期の芳澤かすみ、明智吾郎、丸喜拓人に関する感想と考察
この記事では、「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の三学期の考察をしていきます。
まだ「ペルソナ5ザ・ロイヤル」をプレイしたことがない人は、こちらの記事からご覧ください。
まず「ペルソナ5ザ・ロイヤルの批判があった点」について解説していきます。
三学期の考察をすぐに読みたい人は、ここをクリックしてください。
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P5Rが炎上・ひどい評価を受けた理由
ペルソナ5ザ・ロイヤルは、「一度はプレイしておきたいRPG」という高評価を受ける一方、不満の点も目立ちました。
ユーザーの意見も様々ですが、ストーリーに関する不満は大きく分けて2つあります。
- 三学期のエンディングが不評だった
- 掘り下げの無い登場人物がいた
順に追っていきましょう。
三学期のエンディングの着地点
①は、主に明智吾郎についての扱いです。
三学期の終盤では、主人公と共に行動していた明智は、実は認知上の明智吾郎であることが明かされます。
未来を望む主人公たちは、彼の存在を乗り越えて(あるいは犠牲にして)、苦しいながらもそれぞれの未来に向かって歩み始めることになります。
ここまでは良いのですが、三学期のエンディングの最後に、明智らしき人物がチラッと登場してしまったこと。
この描写が入ったことによって、
明智吾郎の生死
について、意見が分かれる形になってしまったのです。
結局、明智はどうなったの?
というモヤモヤした疑問を抱えたまま、エンディングを迎えたプレイヤーが多かったため、批判の原因の1つになってしまったのだと考えています。
この点については、後ほど深く考察していきます。
ジョゼの扱い
ジョゼに関する掘り下げも中途半端でした。
数々の思わせぶりなセリフがありましたが、ジョゼの正体は「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の中では明らかになっていません。
個人的には、ベルベットルームに関係している人物なのではないかと考えています。
「前作で登場した人物の掘り下げが、次回作で明らかになる」という手法は、コンスタントに続きが出されるゲームや漫画であればOKな場合もあります。
しかし、ペルソナシリーズは数年に一度の発売になる以上、未回収の伏線を残したままエンディングを迎えさせるのは、プレイヤーにとってストレスです。
ジョゼを登場させるのであれば、思わせぶりなセリフを控え、単なる「アイテム屋」として登場させた方が良かったのではないかと考えています。
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P5Rの三学期の考察
ここからは、三学期のエンディングとテーマについて考察していきます。
三学期でラスボスになった丸喜拓人が掲げる「救済」とそれを打ち砕く怪盗団。
三学期は、それまでの怪盗団のテーマとは違い、「自分で自分を救済する」ことの苦しみと美しさを描いていると思います。
12月までの怪盗団の活動は、「強い悪人に虐げられている人を(怪盗団が)救済する」という構図でした。
一方、三学期では、自分自身の選択と力で、苦しさを伴いながらもより良い未来を望んで足を踏み出していく、つまり自己救済の「美しさ」がテーマになっています。
「正義」というより、「美学」が主旨になっているんだね!
いくつかの批判はありながらも、成長した怪盗団が挑むテーマとしては、これ以上ないほどふさわしいと思っています。
整理すると、12月までの怪盗団の立ち位置は以下通りです。
- 権力を持った悪人に立ち向かう
- 社会悪に立ち向かう「正義」
- 悪人を叩くことで得られる爽快感
(少年のヒーロー願望)
一方、3学期の怪盗団の姿勢は違います。
- 自身の「都合のいい夢」に立ち向かう
- 自分の弱さに立ち向かう「美しさ」
- 自身の過去と対峙する苦しみ
(青年期の成長)
P5R各人物に関する考察
ここからは、ペルソナ5ザ・ロイヤルで焦点があてられた登場人物達と、主人公(プレイヤー)について深堀していきます。
芳澤かすみ
3学期以前の彼女は、姉の「かすみ」の幻影にすがり、過去を直視できないまま過ごす女の子でした。
「かすみ」の真実が明かされたとき、彼女は最初、主人公を拒絶します。
しかしその後、怪盗団のメンバーが、それぞれの「夢」を断ち切り、自らの足で未来を進んでいく姿勢を目の当たりにすることになります。
自ら立ち上がった人たちを間近に見たことをきっかけに、彼女は自分(すみれ)と姉・かすみについてもう一度見つめ直すことにします。
コーチから明かされた姉の心境や、すみれ自身のありのままの姿を見て、自らの足で未来を歩むことを決めた彼女。
過去との決別として、怪盗団と共に丸喜の救済を否定し、新しい未来へと進んでいきます。
彼女の選択と成長は、丸喜の救済に対するアンチテーゼであると同時に、丸喜が自ら立ち上がるきっかけにもなります。
怪盗団に救われ、丸喜を救う。
重いテーマの三学期を担うヒロインとして、ふさわしい人物ですね!
明智吾郎
三学期に登場する彼は、主人公の夢や願いから生まれた偽物です。
しかしながら、果たして「単なる偽物」で片づけていいのか疑問に思える点もあります。
本物の明智がシドウパレスで怪盗団と別れた後について、旧作「ペルソナ5」では、はっきりとした描写がありませんでした。
直後のナビ(双葉)のセリフから、明智の生存が絶望的であることを察することができ、それ以降明智の生死に関する言及はありません。
つまり、明智は…。
一方、「ペルソナ5ザ・ロイヤル」では、
- シドウパレス内での明智のセリフが変更されている
(主人公との関係が終わることの未練) - コープ内容の変更
- コープランクを三学期でも上げることができる
- 三学期の選択次第で、エンディングに明智らしき人物が描写される
ということが起こります。
主人公が「認知上の明智」に対して与えた影響が、パレス内で行方不明になっていた「本物の明智」に対して、何らかの影響を与えた結果、三学期のグッドエンディングにつながったのではないかと考えています。
ペルソナ5ザ・ロイヤルでは、
「認知世界で与えた結果が、現実世界に影響する」
という描写があったよ!
認知世界と現実世界があいまいになった「三学期の世界」では、
「認知上の明智」を通して「本物の明智」に良い影響を与えることができたのかもしれないね!
現実世界に戻ってきた明智は、以前のような「皆にもてはやされる探偵王子」とは真逆の道を歩んでいかなくてはいけません。
彼にとっては、シドウパレスで人生を終えていた方が楽だったと思います。
ただ、筆者自身は、三学期のテーマの一つが「自身の過去と対峙する苦しみ」であると推測しています。
明智の例に当てはめると、三学期のグッドエンディングは「他のルートでは絶望的だった明智の生存が、唯一確認できるルート」にしても良いのではないかと考えています。
三学期ラスト(3/19)で、ジャズバーのマスターと会話すると、
明智の生存を匂わせる描写があるのも良いですね!
明智吾郎と主人公のタッグが読める!漫画「メメントスミッション」
明智吾郎と、主人公はじめとする「怪盗団」のタッグをもっと見たい人におすすめなのが漫画「ペルソナ5 メメントスミッション」。
原作の世界観を踏襲しつつも、新たな事件とキャラクター達が登場します。
芸能事務所の社長の毒殺未遂から始まり、街で起こる小さなトラブルを解決していく怪盗団。
キナ臭い芸能事務所の事件を追っていく内に、それぞれの事件が裏で繋がっていくところが特に面白いです。
明智吾郎と主人公の掛け合いも良きです!
ペルソナシリーズは、漫画やアニメなど様々なメディアで展開しています。
マンガ・アニメが好きなら
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がおすすめです。
他にも、ポイントを利用して漫画をお得に読めるアプリもあるので、アニメ・マンガ好きの人は自分に合ったアプリを探してみましょう!
丸喜拓人
三学期のラスボスを務めることになった丸喜先生。
ただし、彼はこれまで怪盗団が対峙してきた「悪い大人」とは違い、彼の善性から出た願いによって世界を変えようとしています。
長期的、マクロ的に見ると、
丸喜先生の世界は、存続できない「どん詰まり」の世界だね。
なら、彼も一応は「社会悪である」と言えるのか…
これまでの「少数の悪人が得をして、大勢の人が損をする」例とは真逆だね。
「大勢の怠惰な大衆が得をして、丸喜先生が損をする」ってことか。
怪盗団もアプローチを変えないといけないんだね。
- 初期のすみれ、怪盗団
- 都合のいい夢を見続ける大衆
- 丸喜先生
- 丸喜先生に頼らず社会を支えている少数の人
ミクロ的な視点から見ると、彼の婚約者やすみれのように、彼によって救われた人もいます。
そして、都合の良い夢を見続ける大衆にとっても、丸喜先生は良い人に見えるでしょう。
しかし、この方法では丸喜先生が救済されません。
それでも彼自身が、「認知世界を使って傷ついた人を救済する」という方法に固執してしまっています。
過去にあった
- 最愛の婚約者の認知を書き換えて救済した
- すみれの認知を書き換えることで元気にできた
という出来事があった以上、彼は自分の方法を自分で否定するわけにはいきません。
物語の後半では、すみれが立ち直ったのを目の当たりにし、怪盗団に過去を見つめ直すきっかけを与えてもらえました。
交流を深め、幾度もの衝突を繰り返した怪盗団に負かされることによって、丸喜先生にはじめて
自分の過去や、方法を否定する勇気
が生まれたのではないかと推測しています。
こうした出来事を経て、三学期のエンディングでは、彼も新しい道に進むことを決めます。
「もし君が生きることにつまづいたとき、
「ペルソナ5ザ・ロイヤル」より引用
『大人になってからでもやり直せる』、その見本になる。
それが、僕が君にしてあげられる、仕返しかな」
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怪盗団と主人公(プレイヤー)
怪盗団
主人公以外の怪盗団メンバーは、当初は丸喜先生が作った「都合の良い世界」を受け入れていました。
しかし物語中盤では、優しい夢を見ることを拒否し、丸喜先生と対峙することを決意します。
主人公と明智に諭されながらも、現実を受け入れることを拒否していたすみれにとって、怪盗団メンバーが立ち直った姿は「ありえないこと」でした。
しかし、それぞれの主張を聞くことで、彼女がもう一度自分の過去と向き合う勇気をもつことに繋がります。
12月までの経験が、怪盗団メンバーに選択する力を与えていたのは想像に難くありません。
主人公(プレイヤー)
一方、主人公は2月になるまで「明智の真実」に気がつきません。
そして丸喜先生と対峙する前に、大きな選択をすることになります。
この時、プレイヤーは主人公と同様に、明智に対する未練を抱くことになります。
しかし、これまで怪盗団メンバーとすみれが立ち直るところを間近に見て、明智との交流を経た主人公は、自らも「都合のいい夢」と決別することを選びます。
この時の決断は、明智と交流を深めていたプレイヤーにとっても重い選択です。
ペルソナ5ザ・ロイヤルは、明智を通して「主人公=プレイヤー」に重い選択を投げかけています。
4月からラストまでの一連の流れを見ていると、
- 主人公が怪盗団メンバーを悪人から救う
- メンバーが夢から覚めることで、すみれに勇気を与える
- すみれと怪盗団が、丸喜先生に勇気を与える
- 主人公の選択と丸喜先生のセリフが、プレイヤーに勇気を与える
という順序になっています。
12月までは「主人公=プレイヤー」だった関係が、三学期では2月を起点に
主人公とプレイヤーが徐々に切り離されていく
という仕掛けになっています。
三学期のラストでは、怪盗団は解散し、それぞれが別の道を歩み始めます。
登場人物それぞれのリスタートを丁寧に描写することで、プレイヤーにも「ペルソナ5ザ・ロイヤル」からの卒業を促しているのだと思います。
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まとめ
こうしてみると、「ペルソナ5ザ・ロイヤル」は旧作の「ペルソナ5」と比べて、物語のラストが丁寧に作られている印象があります。
確かに、一部残念な点はあります。
しかし、今回考察をして「ペルソナ5ザ・ロイヤルは名作ゲームである」と改めて思わされました。
今後も「ペルソナ5ザ・ロイヤル」のような名作ゲームに出会いたいですね。
このブログでは、ゲームや漫画の考察を書いています。
ペルソナシリーズをプレイ済みの人向けの考察記事もあるので、あわせて読んでみてください。
ペルソナシリーズのクリア後考察