荒川弘「黄泉のツガイ」第10話「ベタとホワイト」の感想・レビュー・考察。

今回は「鋼の錬金術師」「銀の匙」などの名作マンガを描いた荒川弘さんの最新作、「黄泉のツガイ」の第10話の感想と考察を書いていきます。
第10話は、少年ガンガン2022年10月号に掲載されていました。

「黄泉のツガイ」第10話のあらすじ
まずは第10話「ベタとホワイト」のあらすじを書いていきます。
巻頭カラーはアサとそのツガイ。
こうして見ると、アサの外見はお姉さんっぽいですね。
作中では、ユルに対して妹モード全開ですが(笑)。
デラさんが影森さん家にお邪魔します

前回第9話で、影森家を訪ねてきたデラさん。
ユルは両親が行方不明になった件について、
影森家と田寺家(デラさん)の両方の言い分を同時に聞きたい
ということで、デラさんを影森家に入れることを提案します。
そこへ、影森アスマさんも合流。
ジンさんとアスマさんは、やはり折り合いが悪いみたいですね…。
波久礼先生、お館様、デラさんと合流

ジンさんとアスマさんが険悪な雰囲気なところに、恰幅の良い、眼鏡の男性がやってきます。
この人が第7話で名前だけ出ていた「波久礼(はぐれ)先生」ですね。

ジンさんやアスマさんと違って、荒事は好きではなさそうな性格のようです。
さらに、お館様(影森ゴンゾウさん)とデラさんも合流。
ジンさんはあからさまに警戒していますが、デラさんも交えて皆で朝ご飯を食べることになります。
ジンさんによると、
- 田寺家は「東村の番小物」を務める一族
- 田寺家の人間は、影森家の前には一切姿を現したことがなかった
ということで、訪ねてきたデラさんに、かなりの不信感を抱いています。
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ユルと「封」の力

ユルは、デラさんと左右さんに「封」の力の詳細を隠していた件について問いただします。
- アサの身に危険があれば、ユルは積極的に命を捨てる可能性がある
- 「一度死んでも大丈夫」という思考をユルに持たせたくなかった
- 400年前の双子の片割れは、生き返ることがなかった
という理由により、ユルには「封」の力についての詳細を伏せておくことにしていたのです。

この話を聴いたときのジン、アスマ、波久礼先生の表情が印象的ですね。
後ほど考察していきます。
とりあえず、続きの話は朝食を食べながら、という流れになりました。
波久礼先生のツガイ「黒白」

波久礼先生が大広間のお片付けをしてくれます。
登場したのは、彼のツガイの「黒白(こくびゃく)」。
- 白い姿の「ホワイト」
破壊されてしまった物体に修正液(ホワイト)をかける - 黒い姿の「ベタ」
修正液をかけた場所に、自由に墨(ベタ)をつけて修復する
というツガイです。
波久礼先生の職業は漫画家で、本名は「影森ヒカル」。
影森家の長男でした。

ベタとホワイト、丸っこくて愛らしいですね!
波久礼先生も、雰囲気や性格が…ある意味では愛らしい…ですね。
楽しい朝食

仲良く食事をしながら団らん…ということには当然ならず。
主にジンさんとアサが殺伐としています。
デラさんに昨日の襲撃の件について尋問していますが、デラさんは「知らない」の一点張り。
デラさんは東村側の中では穏健派であることを自称しており、アサが襲われたり、ユルとアサの両親が行方不明になった件については初耳だということです。

デラさんとジンさんの会話が良いですね。
デラさんの胡散臭さと有能さが垣間見えるシーンです!
お館様に、「アサとユルをどう扱うのか?」と問うデラさん。
議題はいよいよ本題に入ります。
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浮かび上がる亀裂

「運命の双子が生まれる度に世が乱れる」
「解も封もない方が良い」
「黄泉のツガイ」第10話より引用
それがお館様の答えでした。
アサとユルを最後の双子とし、東村は解体すべきと言うお館様。
「東村に対しては」敵対的な姿勢です。
それに対し、その場で明確に反対の姿勢を見せる「影森アスマ」。
強大な力を否定せず、それを生み出す東村の存在も肯定します。

要するに、
「解」と「封」は影森家の管理のもとで使われるべき
という立場なのかな?

みんながいる席で、堂々と反対意見を言えるとはね…
それぞれの言い分は聞きました。
影森家、田寺家の主要人物がそろっている席で、ユルは一つの決断を下します。
ユルのこういうところ、強くて優しいな…と感じますね。
果たして今後はどうなるのか?
第11話に続きます。

第10話までの謎と感想・考察
第10話では、影森家と田寺家の言い分が出そろいました。
今回は影森家について、いったん整理しておきましょう。
影森家の次期当主候補

お館様には、全員腹違いの子供たちがいます。
彼らが影森家の次期当主候補として、これからの物語に深く関わってくるかもしれません。
ヒカル | アスマ | ジン | |
立ち位置 | 長男 | 次男 | 三男 |
外見 | 恰幅の良いジャージ姿&眼鏡 | 和服姿 | スーツ姿&眼鏡 |
性格 | 明るい | やわらかい雰囲気&腹黒? | 真面目 |
ツガイ | 黒白 | 不明 | 掃除屋 |
お館様との関係 | 不明 | 不明(対立?) | 良好 |
お館様とのやりとりを見る限りでは、ジンさんが一番信頼が厚そうですね。
第1話の東村襲撃も、ジンさんが現場指揮を執っていました。
一方、アスマさんはやり手のようですが、お館様の方針とは対立姿勢をみせています。
ヒカルさん(波久礼先生)は漫画命!という人なので、次期当主争いからは遠ざかりたいのかもしれません。

アサは「影森家を信じる」と言っていますが、今後はどうなることやら…。
封と解の力に対する反応

ヒカルさん、アスマさん、ジンさんの「解」と「封」についての反応が気になりました。
左さんの、「400年前の双子の片割れは、生き返らなかった」という発言に対し、セリフは無いものの、三人の表情が分かる1コマがありました。
- ヒカルさん
汗を垂らして驚きの表情。 - アスマさん
無表情ながらも左さんを注視。 - ジンさん
険しい表情で左さんを注視。
ヒカルさんは、初耳といった様子です。
一方、ジンさんは険しい表情…。
アサの身に起きたことを考えているのかもしれませんね。
アスマさんは…。何を考えているのか、この1コマからでは分かりかねます。
意味深な1コマでしたが、3人の「双子」に対する本音が描写されているのかもしれません。
ぜひ本誌で確認してみて下さい。

朝食の席での、皆のセリフと表情も推しポイントです!
今後の展開が楽しみになる第10話でした。


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