「逃げ上手の若君」史実との違いや完結までのストーリーを予想考察

この記事は、漫画「逃げ上手の若君」のネタバレを含んだ考察記事です。
まだ「逃げ上手の若君」を読んだことがない人は、先に「第1巻のあらすじ・感想記事」から読むことをおすすめします。
また、日本史上の北条時行・南北朝時代についても簡潔にまとめています。
逃げ若完結まで日本史ネタは避けておきたい人はご注意ください。
今回は、松井優征さんの最新作「逃げ上手の若君」のストーリーを考察していきます。
- 漫画と史実の違いについて知りたい!
- 「逃げ上手の若君」のラストを予想したい!
という人は、この記事を参考にしてください。

「逃げ上手の若君」のあらすじ

鎌倉幕府の後継者として育てられてきた少年「北条時行(ほうじょうときゆき)」は、武士の生まれながらも争いごとが苦手な性格で、稽古から逃げてばかりの暮らしを送っていた。
「お飾りの王」として将来を誰からも期待されていなかった時行だが、忠臣・足利尊氏(あしかがたかうじ)の裏切りにより、一瞬にして親族も鎌倉幕府も奪われてしまう。
信濃の国の神官である諏訪頼重(すわよりしげ)に匿われながら、逃げることに関しては誰にも負けない「逃げ上手の若君」は、宿敵を倒すために英雄への道を歩き出すことになる。

史実の「北条時行」はどんな人物?

「逃げ若」の主人公のモデルとなった、日本史上に登場する「北条時行」はどんな人物だったのでしょうか?
以下に簡単にまとめました。
- 足利尊氏の裏切りにより、鎌倉幕府を滅ぼされる
- 逃亡後、挙兵して鎌倉を取り戻すことがあったが、いずれも失敗に終わる
- 公式記録では、最後は足利の軍に捕縛され、処刑される
北条時行が起こした乱は、「中先代(なかせんだい)の乱」と呼ばれています。
北条時行以外の武士も派閥に分かれて争った、混沌とした時代に生きた人物です。
ざっくりまとめた「中先代の乱」

ざっくり要約しました。
史実や史料とは異なる部分もあるかもしれませんので、参考程度に見ていってください。
①鎌倉幕府滅亡後も、北条家は諦めていなかった
北条時行が逃亡し、鎌倉幕府が滅亡した後、足利尊氏の弟である直義が鎌倉を仕切っていました。
しかし、幕府崩壊後の武士をまとめるのは並大抵のことではなく、北条氏の残党を中心に各地で反乱が起きていました。
足利方の配下にある「小笠原貞宗」などが各地の反乱軍の鎮圧に努めていました。
②北条時行の蜂起、鎌倉陥落
北条時行は信濃に隠れていましたが、諏訪頼重などに支えられて蜂起しました。
同時期に各地の北条一族も反乱を起こしており、足利方についた武士を破りながら鎌倉に攻め込みました。
足利方は反乱軍が鎌倉ではなく、京都に来ると予想していたため、鎌倉に滞在中の足利方の武士に伝達するのが遅れてしまったようです。
このため、鎌倉は北条時行の手に陥落することになりました。
足利直義は鎌倉手前で北条時行を迎え撃ちましたが、北条時行はこれを撃破。
足利直義は鎌倉を去り、京都に向かった後、反乱軍の報告をします。
③北条時行VS足利尊氏
足利直義の報告により、北条時行の侵攻を知った足利尊氏と朝廷。
朝廷は足利尊氏を引き留めましたが、尊氏はこれを無視して北条時行の討伐に向かいます。
弟の直義と合流した尊氏は、北条時行の軍勢と何度か激戦を交え、徐々に北条時行を追い詰めます。
かつて鎌倉幕府にしたがっていた武士は完全に2派に分かれて争ったため、この時点で「かつての鎌倉幕府の再興」は不可能なものになりました。
北条方は、最終的に重鎮の諏訪頼重が自害し、北条時行も鎌倉から逃亡することになります。
このとき朝廷は、足利尊氏を引き留めていましたが、尊氏はこれを無視して北条時行の討伐に向かっています。
尊氏が出立した後、朝廷は(おそらく仕方なしに)征夷大将軍の地位を足利尊氏に与えています。
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④足利尊氏が建武政権から独立
尊氏は鎌倉を抑えた後、自身に従った武士に恩賞を分配し始めました。
しかしながら、この判断は朝廷の意向を無視して勝手に行ったものでした。
この時を機に、足利尊氏と朝廷との仲は険悪になり、のちに「朝廷(政府)が2つある」南北朝時代を迎えることになります。
⑤北条時行、南朝側に従い足利尊氏と激突。後に処刑される
足利方が「北朝」、旧朝廷側が「南朝」として二政府状態が続いていたころ、北条時行は南朝に与することになりました。
北朝の足利と戦いましたが、これに敗れてしまいます。
北条時行は1352年に捕らえられて、翌年に鎌倉で処刑されたそうです。
史実と「逃げ上手の若君」の違い

- 「強大な敵への復讐」を目標にしつつ、時行と仲間の冒険にも焦点が当てられている
- 史実を元にしながらも、キャラクターは「逃げ若」独自の要素が足されている
- 人間の世界に「人ならざる者(不思議)」が介入している(独自設定)
物語の大きな目標としては、足利尊氏への復讐があります。
しかし、少年漫画らしい魅力的な仲間たちとの冒険譚がふんだんに盛り込まれており、単なる「歴史文献を漫画化させたもの」とは一線を画した作品になっています。
作者の松井優征さんも、
歴史ものをやる時、最も気をつけなくてはならないのは
「作者が歴史に呑まれてしまう事」
だと思います。
「逃げ上手の若君」第2巻より引用
というコメントをされています。
「逃げ上手の若君」では、歴史の出来事を材料にしながらも、独自のキャラクター・ストーリーを組み立てている点が多くの読者をひきつける要因になっています。

主人公の時行をはじめ、
仲間も敵も個性的すぎるキャラクターがそろっています!
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「逃げ若」ラストはどんな完結をするのか?

予想
- 反乱後に時行は捕まって処刑される
(史実とほぼ同様) - 反乱が失敗するが、時行は逃げ延びる
(史料を元にした創作) - その他
(漫画オリジナル展開)
そもそも史実の北条時行の最期も、「鎌倉で処刑された説」と「生存説」の2つがあるようです。
鎌倉幕府の祖・源頼朝の弟である「源義経」も、「戦の後死亡」と「逃げ延びて生存」の2つの説があるようで、義経と時行の境遇は似ているところがありますね。
個人的に予想しているのは、②と③をミックスさせた展開になると予想しています。

ラスボスが足利尊氏になる…
と見せかけて、他の「何か」(魑魅魍魎)と戦うことになるのでは?
果たして「逃げ上手の若君」はどんなラストを迎えるのでしょうか?
今後も楽しみですね!
