【後半ネタバレ考察】「鬼滅の刃 風の道しるべ」の感想。不死川実弥と粂野匡近の出会い
今回は、漫画「鬼滅の刃」の外伝小説「風の道しるべ」の感想を書いていきます。
「風の道しるべ」の主人公は、鬼殺隊最強の剣士の1人、風柱「不死川実弥(しなずがわさねみ)」です。
鬼滅の刃本編が始まる前の、前日譚になります。
本編である「鬼滅の刃」の作品紹介と、派生作品についての感想・考察は、こちらからどうぞ。
後半では、不死川実弥の人気の秘密について考察しています。
ネタバレOKという人は、ここをクリックして考察までスクロールしてください!
「鬼滅の刃 風の道しるべ」とは?
「鬼滅の刃」の前日譚を描いた小説です。
このお話では、本編主人公の「竈門炭治郎」は登場しませんが、人気キャラクターの1人である、風柱・不死川実弥が主人公を務めます。
他にも、相棒の「粂野匡近(くめのまさちか)」、花柱・「胡蝶カナエ」とその妹、「胡蝶しのぶ」が登場します。
不死川さんが風柱を任命される前までの話が描かれているので、彼のファンであればぜひ読んでおきたいところですね。
鬼滅の刃本編の166~168話とあわせて見ると、本編の理解も深まります。
「風の道しるべ」の感想
前半は穏やかな日常風景、後半はホラー風味な鬼との戦闘
漫画とは違い、1つ1つの場面の描写が丁寧です。
漫画本編では、テンポよく戦闘シーンなどが描かれています。
一方、こちらは小説版なので、鬼との戦闘も、ホラー風味でおどろおどろしい部分が強調されています。
テンポよく話が展開されていく「鬼滅の刃」本編に比べると、やや悠長な部分が多めな印象。
小説を先に読むよりは、本編漫画を読んだ後の補完として読んでみたほうがいいかもしれません。
胡蝶姉妹ファンには、うれしい場面も!
花柱「胡蝶カナエ」と、このころはまだ蟲柱ではない「胡蝶しのぶ」も登場します。
描写は少ないですが、姉妹がそろって日常を送っている貴重なシーンもあります。
- 不死川さんとカナエさんの会話
- 感情豊かなしのぶさんと、粂野さんのうわさ話
こんなシーンもあるので、胡蝶姉妹ファンの人にとってもうれしい外伝小説ですね。
「冨岡義勇外伝」もあわせて読みたい!
鬼滅の刃の外伝には、小説の他にも外伝漫画があります。
「鬼滅の刃 外伝」には、水柱・冨岡義勇を主人公にした「冨岡義勇外伝」と、炎柱・煉獄杏寿郎を主人公にした「煉獄杏寿郎外伝」が収録されています。
「冨岡義勇外伝」メインキャラクター
・冨岡義勇
・胡蝶しのぶ
「煉獄杏寿郎外伝」メインキャラクター
・煉獄杏寿郎
・甘露寺蜜璃
となっており、迫力ある戦闘描写と、大人っぽい胡蝶しのぶさんを楽しむことができます。
さらに、冨岡義勇は「風の道しるべ」主人公の不死川実弥とは、何かと関わりの深いキャラクターです。
こちらの外伝漫画は、「鬼滅の刃」本編を読んでいなくても致命的なネタバレはありません。
興味がわいた人は、あわせて読んでみてください。
以下に簡単な作品紹介と、感想を載せています。
まとめ:キャラクターの掘り下げが丁寧にされている外伝小説
- 不死川実弥の心理描写が丁寧にされている
- 胡蝶姉妹の日常風景が尊い
- バトル描写は漫画とは違うテイスト
不死川兄弟ファンの人であれば、ぜひおすすめしたい1冊です。
ただし、「鬼滅の刃」らしい、テンポよい戦闘描写を期待されている人は要注意。
原作を読んだ後におすすめしたい補完小説です。
鬼滅の刃は、他にも外伝小説やアニメなど、様々な形で楽しむことができます。
このブログでは、鬼滅の刃に関連した感想や考察を書いています。
まだ読んでいない人も、すでに読み終わった人にも楽しんでもらえるよう、前半はネタバレなし、後半はネタバレありの考察を書いているので、ぜひ読んでみてください。
ネタバレ考察:不死川実弥の人気の秘密
ここら先は原作23巻まで全て読んだ人向けの、ネタバレ考察記事です。
アニメ派の人は注意してください。
風柱・不死川実弥は、
- (炭治郎視点では)第一印象が最悪
- 活躍がストーリー後半に集中
であるにもかかわらず、柱の中でも屈指の人気キャラです。
なぜ不死川実弥は人気キャラになったのか?
という部分についてスポットライトをあてて考えてみます。
不死川実弥の人気の秘密
- 身体能力と機転を利かせたアクロバティックな戦闘スタイル
- 粗暴と見せかけて、情に厚く礼儀正しい人柄
- 波乱万丈、苦難にまみれた半生
1、柱の中でも上位の実力をもつ
不死川さんの戦闘は、上弦の壱・黒死牟と無惨のみです。
しかしながら、この2人は鬼の中での実力ナンバー1,2の存在です。
1人で勝利したのではないとはいえ、最上位の鬼と戦って勝利し、生き残ったのは強者の証と言えるでしょう。
上弦の鬼と無惨によって、歴代柱が次々と屠られていたので、
これを屠るのは歴代最強クラスの柱でないと無理でした。
岩柱・風柱は、歴代最強の名を十分に名乗る資格のある柱であると言えますね!
さらに、独特な戦闘スタイルにより、上弦の壱・黒死牟と短時間の間一人で戦うことができています。
- 鍛え上げられた身体能力
- 玄弥の銃を使った攻撃
- 稀血
持って生まれた能力に加え、その場にある物を取り入れながら柔軟な対応力をみせる不死川さんに、敵である黒死牟も(ほんの一瞬とは言え)劣勢に追い込まれました。
無惨戦では、
- 無惨を燃やす
- 冨岡さんと協力して赫刀を発現させる
という臨機応変な戦闘をしています。
2、情に厚い人柄
不死川さんは、物語初期では「粗暴で、人に対して冷酷な性格」という印象を持つ読者が多いキャラクターでした。
これは、物語がほとんど炭治郎視点で進むため、炭治郎と対立する人物が悪役に見られやすいというメタ的なギミックがありました。
加えて、不死川さん自身も「他人にどう思われようと、自分の印象を良く見せようとしない」という性格を持っているため、物語後半まで彼の魅力について読者に明かされることがありませんでした。
しかしながら、実際の不死川さんは、
- 尊敬できる相手に対しては礼儀正しくまじめ
- 「下の子」に対して面倒見が良い
(玄弥、人間の禰豆子、柱稽古に来た一般隊士)
という協調性を持った人物でした。
事情があったとはいえ、冨岡さんが対比として使われています…
不死川さんが特に敬愛している人物として
- お館様(親子)
- 岩柱・悲鳴嶼行冥
が挙げられます。
リーダーとして広い視野を持ち、集団を導くリーダー気質を持った人には、特に敬意を心がけているようですね。
一方で、集団行動をとれない人物に対しては好意は持てないようです…(冨岡さん…)
柱稽古では「無限打ち込み稽古」なるもので一般隊士をしごきまくっていました。
一見するとただのイジメに見えますが、十二鬼月相当の鬼に遭遇しても生き残れるように、みっちり面倒を見ているともとれます。
逃げ出した善逸に対しても、わざわざ連れ戻しに来てましたね。
実際に強い鬼と何度も戦ったこと、煉獄さんや宇髄さんの強さや顛末を知っているからこそ、口には出さなくても一般隊士には1人でも多く生き残ってほしいのでしょう。
一方で、特に大切に思っている玄弥に対して、素直な感情を表に出せないのが彼の弱点でした。
炭治郎とは同じ「長男」でありながら、妓夫太郎とは別の意味で対照的な人物とも考えられます。
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3、苦難にまみれた半生
不死川実弥は、柱の中で唯一「身内が鬼になり、それを自分で倒した人物」です。
柱の中では炭治郎に境遇が最も近く、最も遠い存在です。
柱になるまでも、鬼殺隊が解散するまでも「身内の死」を背負い続ける宿命を負ってますね。
炭治郎が主人公でなければ、実弥さんが主人公であってもおかしくないくらい、色々な苦難に置かれることになるなんて…
しかしながら、肝心の炭治郎自身には、自分の境遇や感情について直接ぶつけるようなことはしていません。
これについては玄弥も同様でした。
不死川兄弟は、言葉に出さない「行動」の部分にこそ優しさが表れていると考えています。
考えられる理由としては、
- お館様の判断に従った
- 禰豆子が「特例」であると強く認識していた
- 炭治郎は自分よりも下級隊士である
というものが挙げられますが、お館様から「下の子をあまりイジメないこと」と注意されたのが利いているのでしょう。
炭治郎のことは嫌いですが、それを直接態度に出さないように気を付けているのが、柱稽古時の不死川さんです。
しかしその柱稽古の顛末は…。
まあ、馬が合う人もいれば、合わない人もいますよね。
鬼滅の刃には、不死川実弥の他にも魅力的なキャラクターが多いです。
他の柱についても考察しているので、こちらもチェックしてみてください。
竈門炭治郎
冨岡義勇
煉獄杏寿郎
宇随天元